茨城県関連企業・団体新年展望
トップが語る
2022
茨城大学
学長 太田 寛行
SDGsへ真摯に迫る
 2021年も新型コロナウイルスへの対応が課題でしたが、学生も教職員も学びの継続のために真摯に対応してきました。一方で学生たちは友人や経済状況でまだまだ悩みも抱えています。そうした中で地域の皆さまからは基金を通した支援や食料の寄附をいただきました。心より感謝申し上げます。
 運営面では3月に「イバダイ・ビジョン2030」を策定し、持続可能な社会の実現へ向けた12のアクションを定めました。気候変動適応の研究・教育をSDGsへと展開していきます。特に脱炭素社会に向けたカーボンニュートラル燃料の合成・利用の技術開発が進展し、全国でもトップクラスになりました。
 地域創生で地方の大学への期待が高まっています。県と連携し、地域の企業・自治体と協働するアントレプレナーシップ教育プログラムを昨秋から始めました。取り組みを発展させる形で文理融合の新たな教育課程を構築中です。学生が社会に参画し、地域のさまざまなアクティビティを構造化して高める教育を追究したいと思います。
 気候危機の実感が高まり、コロナ禍で格差や貧困も拡大しています。SDGsへの関心が高まっていますが、人類史的な課題が含まれることを考えれば、30年までに目標を達成することは至難です。狡猾的なグリーンウオッシュ(見せかけの環境配慮)に陥らないようにすることが大学の責務でもあります。
 多様な知が集うキャンパスの特徴を活かし、身近な他者との真摯な対話・理解を促し、それをSDGsの課題へと丁寧につなげていく取り組みを進めたいと思っています。
水戸・日立・阿見にキャンパスを有し、人文社会科学・教育・理・工・農の5学部と大学院で構成。学生数は約8400人。量子線科学と気候変動の分野を強みとし、企業等との共同研究件数は常に上位を誇る。