茨城県関連企業・団体新年展望
トップが語る
2021
社会福祉法人清常会
理事長 中村 きよ子
〝心の距離〟縮まる気付き
 コロナ禍は大変な災厄に違いありません。とりわけ私どものような高齢者施設は日々一瞬たりとも気の抜けない緊張を強いられています。しかし、この未曾有の危機はこれまでの介護やケアの在り方を見詰め直す機会にもなりました。
 私どものケアハウスも昨年春の新型コロナ以降は定例のカラオケ大会やパーティー、外部との交流事業が全て取り止めになりました。しかし、感染リスクを心配したのは施設側だけではありません。何より当の入居者自身が感染不安に脅え、ストレスにさいなまれていました。
〈心のケアが欠かせない〉―。介護スタッフらは入居者らへの積極的な声掛けを始めました。ところが、中には声掛けにけげんそうな顔をする入居者もいたのです。なぜか? 声掛けがつい赤ちゃんに話し掛ける言葉になっていると気付きました。
 〈言葉遣い一つにも人生の大先輩としての敬意を込める必要がある〉―。私どもの介護スタッフはコロナ後の勉強会でそう確認しました。新たに「リスペクト・ケア」5箇条を掲げ、入居者一人一人の半生に寄り添った対応を始めることにしました。
ある意味、コロナのたまものかもしれません。ソーシャル・ディスタンス(距離)も感染予防には欠かせませんが、私どもはコロナによって入居者との〝心のディスタンス〟がむしろ縮まったようにも思っています。
 私どもは「子ども食堂」にもかねてから取り組んでいます。この先コロナが収まれば、食堂の子どもたちと入居者の触れ合いの機会づくりに挑みたいと思います。入居者は人生の大先達です。これもリスペクトの試みです。
本部/軽費老人ホーム
ケアハウスアメニティ
 石岡市東大橋2757 ☎0299(27)1233

関連施設/特別養護老人ホーム
けやき園、ゆりの里/子ども食堂 ファミーユ